超解説・聖闘士星矢①~占星術における180度と聖域十二宮~

聖闘士星矢

はじめに

「子どもの頃、一番最初に好きになった漫画・アニメは何?」と聞かれたら・・・私は迷わず、聖闘士星矢だと答えます。連載開始当時、まだ幼稚園に通っていた幼い子どもだった私の心に焼き付いて以来、星矢たちが残してくれた熱い小宇宙は、今も私の心に確かな熱を持って渦巻いています。

大人になってからも、「どうして、こんなに好きなんだろう?」と考える度に、「それだけ幼少期に影響を受けたものの存在は大きいんだろうな・・・」と、いつも月並みな答えで済ませていたのですけれど、占星術や神話の概念を自分なりに理解してきたタイミングで作品を考察してみたところ、実は聖闘士星矢という作品は、かなりの細部に至るまで詳細に設定を練られて作り込まれている作品だということが分かりました。

聖闘士星矢という作品を特別好きではない方からすると、「あんな幼稚なクソ漫画に、そんな語るほどの内容ある?」とか、「どうせ、週刊連載の勢い任せの漫画でしょ?」と、思われる方も多いかもしれません。

実際に星矢の話題って、黄金聖闘士の描写格差による当時のキッズたちの学級内におけるクラスカースト問題・・・!だったり、(そんなものがホントに存在したのかは、甚だ疑問だが・・・)

ボクの考えた黄金聖闘士強さランキング!くらいしか、ロクな話題ってないですよね・・・

ただ、ちゃんと理解すれば、語る内容の尽きないホントにいい作品だし、何よりも連載当時子どもだった世代の人たちが、社会の中心年齢層(30~50代)になっている今の時代に向けた、

実は・・・メッセージ性の強い作品なんです!

というのも聖闘士星矢という作品は、連載開始から、ほとんど時間を置かずにアニメ化が決まったりと、なんというか・・・最初から作品を、当てるべくして当てに行っていた・・・そんな印象があるんですね。

おそらく連載開始前から、アニメ化を前提として作品のプロットが練られていたでしょうし、スポンサーがバンダイになることで、玩具展開も見越して最初から考えられていた。それに当時、売れっ子の漫画家だった車田正美先生を起用することで、最強の漫画媒体だった(これからなっていく)週刊少年ジャンプを通して、世の少年・少女だけでなく、腐ったお姉さま方にまで広く普及させ、来るべく未来のその時のために作品の根底にあるメッセージを浸透させた・・・

そんなことを邪推したくなるほど、かなり考えて作り込まれている作品です。

車田正美先生を起用する・・・という部分に「ん?」と、疑問を感じた方もたくさんいらっしゃるかもしれませんね。

そうなんです!車田先生が生み出した・・・というよりも、作品の根幹を作る上で車田先生のブレーンになった存在がいて、むしろ、そちらの主導で聖闘士星矢という作品が生み出された・・・と考えた方がしっくりくるんです。

まず、占星術や神話の概念を丁寧に落とし込んで作品が作られている点が挙げられます。車田先生が、そういった知識のあるタイプの人にはあんまり思えないですし、(ギリシャ文化が元々好きな方らしいですが・・・)仮にそういった知識のある方だったとしても、作品の根底にある思想の部分が、車田先生由来のものだとは思えないんですよね・・・だから、車田先生に作品のプロットを託して、特に十二宮編までは、常に入れ知恵をしていたブレーンの存在がいたんじゃないかと、そう思ってしまうわけです。

それに、連載開始からあっという間にアニメ化が決まったり、バンダイが出した玩具商品が空前絶後の社会現象を起こすくらいに売れまくったり・・・(瞬間最大風速なら、ドラゴンボールをも凌ぐほどのブームでしたから・・・)こんなの、最初から当てに行くつもりで予め用意していないと出来ないでしょ?と、裏でその絵を描いている存在がいる方が自然だよな・・・と、やっぱりそう思ってしまうんですよね。

それにもし、聖闘士星矢を車田先生が何の入れ知恵もなしで、一人で考えて生み出したのだとしたら・・・それこそ人類の集合意識とか、アカシックレコードとか言われているものにアクセスして生み出した・・・としか思えないっ!w

人によっては、まるで陰謀論や都市伝説の様に感じてしまうかもしれませんが、実際に大ヒットするような漫画・アニメ作品は、この世界の真実を示唆するような内容のものも多かったりしますから、そういったところも含めてエンタメとして楽しんで頂けたら幸いです。

正直に言うと、文章を書くことが面倒で仕方なく、重い腰を上げるのにモノ凄く時間が掛かったのですが・・・

ちゃんとした考察がほとんど出回っていないこともあって、聖闘士星矢という作品を取り巻く状況に、何とも言えない思いを抱いていました。

ですので、聖闘士星矢を知っている少しでも多くの方に作品の魅力をより深く知って頂くために、私の理解した内容を皆様にシェアしていきたいと思います。稚拙な文章で恐縮ですが、よろしければ最後までお付き合いください。

占星術における180度の組み合わせ(オポジション)

まず、聖闘士星矢という作品は、占星術や神話における概念を、かなり詳細に設定に落とし込んで作られています。それらを、順を追って説明していく上で、まずは簡単なところから見て行きましょう。

占星術の基本的な概念として、180度の角度で反対側にある星座同士というものは、共通のテーマにおける陰陽の関係だということです。(占星術用語でオポジションといいます。)

例えば、牡羊座が「私」「自分」「自我を示すための闘争」といったものがテーマなら、その反対側にある天秤座は「あなた」「他者」「人間関係の調和・バランス」といったものがテーマになり、この二つの星座が共通のテーマにおける陰陽の関係であることが分かります。

では、次の牡牛座と蠍座のペアはどうでしょう。これも牡牛座が「物質的な豊かさの追求」「肉体性の追求」といったものがテーマなら、蠍座は「目に見えない本質の追求」「精神性および霊性の追求」といったものがテーマになり、こちらもきれいに陰陽の関係です。

他の双子座と射手座、蟹座と山羊座、獅子座と水瓶座、乙女座と魚座の組み合わせも、同じようにそれぞれのテーマにおける陰陽の組み合わせです。

さて、ここまで話したら・・・勘のいい方や、星矢が好きで好きでたまらない、お話しを何度も読み込んでいる方の中には、私が何を言いたいのかピン!と来た方もいるかもしれませんね。

そうです。牡羊座と天秤座牡牛座と蠍座双子座と射手座蟹座と山羊座獅子座と水瓶座乙女座と魚座、この6通りの組み合わせは、聖闘士星矢の十二宮編における黄金聖闘士たちとの闘いにおいても、共通のテーマを持って、ストーリーの中で同じ展開で描かれています。

つまり、180度の角度で反対側にある星座同士同じ展開をなぞらえることで、占星術におけるオポジションの概念聖闘士星矢のストーリーにも落とし込んでいるんですね。

(以降、多大なる作品のネタバレを含みます。聖闘士星矢をまだ見たことがなくて、ネタバレに発狂しちゃうタイプの人は、作品を一度楽しんでから戻って来てね!)

それでは、順を追って見て行きましょう。

白羊宮と天秤宮における共通のテーマ

白羊宮の流れ

まず、十二宮編における黄金聖闘士たちとの闘いを始めるにあたって、星矢たちは白羊宮で、それまでの戦いで傷付きほとんど死に絶えた青銅聖衣を、アリエスのムウに修復してもらいます。

ムウの手により、新しく生まれ変わった青銅聖衣を受け取った星矢たちは、この世における究極の小宇宙(概念)とは、セブンセンシズ(第七感)だと教わり、過酷な戦いに身を投じて行きます。

天秤宮の流れ

一方、反対側の天秤宮では、双児宮でジェミニのアナザーディメンションによって異次元に飛ばされた氷河が、瞬の活躍もあって天秤宮に不時着し、そこに待ち構えていた氷河の師、アクエリアスのカミュと対峙した結果、闘いに敗北し、カミュの作り出す氷の棺に閉じ込められ、生死の境を彷徨います。

その後、天秤宮に到着した星矢、紫龍、瞬の三人は、氷の棺に閉じ込められた氷河を救うために、紫龍の師、ライブラの老師から送られた黄金聖衣を受け取ります。

老師の教えを基に剣を選んだ紫龍が、ライブラの黄金聖衣の力で氷河を救出し、カミュの凍気によって冷え切った氷河の身体を温め蘇生するべく、瞬が小宇宙を燃やして温め、氷河の復活を試みます。

白羊宮と天秤宮のまとめ

以上の描写から、白羊宮と天秤宮の展開に共通の流れがあることが分かりますね。

どちらも、黄金聖闘士から聖衣を授かるということが根幹にあって、

死に絶えた・・・あるいは死の淵を彷徨う、青銅聖衣と氷河が、ムウと老師という黄金聖闘士の力を借りて復活します。

さらに、ムウからはセブンセンシズ(第七感)という概念を教わり、老師の教えが氷河を救う上で紫龍の選択を助けました。

以上の内容から、聖闘士星矢の十二宮編における白羊宮と天秤宮の対極の組み合わせに共通するテーマは、勇者の復活先達からの支援であるといえます。

白羊宮と天秤宮の余談

こういった視点で作品を見ていくと、十二宮の戦いで最初から青銅聖闘士側に付いていたアリエスとライブラが、占星術における180度の対極の星座であり、聖闘士星矢の十二宮編においても共通の流れを展開していることはもちろん、シオンと童虎の二人がハーデスとの前聖戦の生き残りであることや、ムウも老師も最初は紫龍との関係性から物語に登場したということまで、共通項を踏まえて作品の設定が練られていることが分かります。

聖闘士星矢という作品は、こうやって掘り下げていく部分に事欠かない作品ですから、みなさんも自分なりに掘り下げてみて、作品を再度楽しんでみられてはいかがでしょうか。

次回に続きます。

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